『今度タイムが出なければ辞めろ』 と星野監督に怒鳴られ、
土屋圭一や高木寅之助が初々しかった頃・・・。
場所は旧西日本サーキットレース
決勝一週間前より練習走行に入った時の話です。
私と星野氏のレースはクラスはレベルが異なる為走行時間帯が分けられていたが、
星野氏のクラスがあまりに少ない台数だったので、コントロールタワーに許可をもらい、
星野氏にも『 一緒に練習をさせて下さい』 と直接許可をもらい
『邪魔だけはしないように!!』 と言われつつ一緒に走行した。
通常早い車は、1コーナーを回っている時、2コーナーでインをついてくるのが普通なのだが、
その日の星野氏はなぜかガンガン攻めていた。
私がコーナー(クリッピングポイント)で後続車を確認した時、星野氏のスカイラインGT-Rは3つ後のコーナーを回っていた。
『まだ大丈夫だな』と思い、私は次のコーナーへ。(下りのヘアピンコーナー)
車がクリッピングポイントに向け四輪のドリフト状態になった瞬間にイン側で突然の爆音。
見ると星野氏がインをついて来ていた。
自分の車と星野氏の車、ミラーとミラーとの隙間は10cmもない位の接近!!
『やばい、クラッシュ』と思い私の車をアウトに逃がすと、
星野氏は『ありがとう』の意味の左手を上げ、目は微笑んでいた。
当時日本人最速と言われていただけあり、コーナリングを真後ろから同じ目線で見せてもらった。
確かに狂ったような走りだが、芸術品を見ている様に綺麗にコーナーを走去って行った。
その後、休憩時間に話しをすることがあり、
『なぜ、日本人が外国人にスポーツで負けるのか?』という話になった。
体型も食べ物も良くなり、外国人とは差がなくなってきたが、どうしても外国人選手に勝てないのは、星野氏曰く
原因は幼い時に聞いた音楽にある。
日本人は童謡を聴いて、頭で考え音楽を聴いていた。
だが外国人はロックやヘビメタ、レゲエもそうだけど
体でリズムを取り、全身で覚えてきた。
これが外国人選手と日本人選手の差だ!!
スポーツができ、頭の回転を早くするには幼いときから
《良い音楽・良いリズムをたくさん聴かせてあげないと》
という話しで1日有意義に過ぎていった。
さてさてそのときの予戦、決勝レースの結果ですが、
星野氏はカルソニックスカイラインR32、ゼッケンNo12はポールtoフィニッシュで1位。
私はorcars マーチ、ゼッケンNo38は予戦8位、決勝8位でした。
2012/11/29