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泥まみれの風物詩

2022/05/15

投稿者:伊藤秀彦

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  先日の事だが2年ぶりに春掘りが行われた。

 公民館の清掃や備品の管理などでたまに顔を合わすご近所さん達とも久しぶりに長い時間、一緒に汗をかいた。

それにしても2年間放置した川や草の強いこと強いこといつもよりも少しだけ長い時間がかかったが、小一時間ほどで解散。

 そして私はいつものルーティンでお店から長いホースを引っ張り出して川辺の泥を洗い流す。

「おい、ヒデ、いつもみたいに流しといてくれな、悪いなぁ」

と人懐っこい笑顔で申し訳なさそうにいうおじさんの顔を思い浮かべる。

 肌の色と眉毛が濃いそのおじさんは、小学校の頃から私のこと「ヒデ」と呼んでくれていた。

水を撒きながら親戚のおじさん以外で自分のことを「ヒデ」と呼んでくれるのはもういないのではという少しの寂しさもあった。そんな気持ちを晴らすようにいつもよりも丁寧に川辺の泥を流した。

 そのおじさんはソフトボールが得意で公民館にはその頃の賞状がたくさん飾られている。子どもたちにもソフトボールを教えてくれていて、その頃から「ヒデ」と呼ばれているような気がする。防災訓練で一緒に歩いた時、さすがに若くないやって苦笑いをしていた3年ほど前。

 日差しが強くなり汗と水道水で濡れた身体が気持ちよく感じた頃、ホースの口から虹が出ているのが見えた。

やだなぁ、加世堂さん。心配で見にきたの?言われなくてもちゃんと水撒きしているよ。

 心配なのか…虹はしばらく消えることなくずっと「ヒデ」の手元で水撒きの様子を見守ってくれていた。

 

春掘りとかけて、エステと解く…

 

その心は…

 

終えたら川(皮)がみずみずしくなる…

 

 

 

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